第56期
石川真衣さん
(東北大学大学院 法学研究科 准教授)
2025年9月~2026年8月
2025年9月から1年間、フランスのパリ・パンテオン・アサス大学でInvited Researcherとして研究する機会をいただきました。私が専攻している商法分野の研究では文献調査を行うことが多いですが、デジタル化や政治状況、AIの発展などの影響を受けて経済社会は大きくかつ急激に変化しているため、最新の情報を得るには文献調査では足りません。いま起きていること、それに対する反応を知るには、現地で実際に人に会い、関係機関を訪問し、質問をすることが重要であると考えています。滞在中は、受入教員であるFrance DRUMMOND教授が所長を務めるパリ・ビジネスロー研究所(Institut de Recherche en Droit des Affaires de Paris)で研究を行い、フランス及びEUの会社法・資本市場法の最新動向を学びました。

大学での研究活動のほか、他のフランスの大学の法学部の訪問、フランス金融庁の制裁委員会の公開審議の傍聴、シンポジウム・講演会への参加、ドイツのマックス・プランク研究所の訪問など、充実した日々を過ごすことができました。日本国内にとどまっていたならば出会えなかったであろう数多くの研究者・実務家と実際に話すことができ、世界が広がったと感じています。欧州も日本と同じ課題を抱えて、法制度を通じて解決に取り組んでいることを改めて確認することができました。また、日本の会社法の課題や日本の制度について講演を行う機会を何度もいただき、会場の質問から多くのことを学びました。

フランスは中央集権的な国家と言われています。政府機関・大企業の拠点・有力大学・大手弁護士事務所・経済活動全般はすべて首都に集中していると言っても間違いではないと思います。私もこれまで渡仏した多くの研究者と同様に留学先としてパリを選択し、その点においてあまりオリジナリティーはないかもしれませんが、多くの研究者との交流、実務のより深い理解、そして文献で目にする各種機関の訪問を在外研究の大きな目的の一つとしていた私にとっては正解でした。この街で研究活動を一年間安心して続けることができたのは、村田海外留学奨学会のおかげです。温かいご支援に心より御礼申し上げます。

